〖対象〗ラダー初心者〜中級(回路は書けるが、動きの理由を説明できない人)
〖前提〗A接点/B接点、自己保持、基本的な信号の流れが分かると読みやすいです
〖次に読む〗「自己保持回路とは?」「スキャンタイムとは?」「インターロックとは?」
はじめに:ラダーは「論理式」だけじゃなく“順番のある処理”でもある
ラダーは接点の組み合わせなので、つい「論理式(AND/OR)で決まる」と思いがちです。
もちろん論理は大事ですが、PLCはラダーを 決まった順番で評価して、結果を更新しています。
この「順番」を理解すると、
- なんでこの回路は効くのか
- なんでこの回路は思った通りにならないのか
- なんで現場で“上に書く/下に書く”のか
が説明できるようになります。
大原則:ラダーは「上から下」「左から右」で評価される
初心者はまずこれだけ覚えればOKです。
- プログラム(ネットワーク)は 上から下へ順番に評価される
- 1つの回路の中は 左から右へ通電(成立)を追う
つまり「図面を読む順番」に近い感覚で処理されます。
並列(OR)がある場合:枝は“上の枝→下の枝→合流後”の順で見る
自己保持などでよく出る並列(OR)は、通電を追うときに分岐します。
このときの感覚はこうです。
1) まず上の枝を見て
2) 次に下の枝を見て
3) 合流したら右側へ進む
この「枝は上から」という感覚があると、自己保持の説明が一気に分かりやすくなります。
ラダー設計では「上に書く/下に書く」が効いてくる
ラダーが上から下に評価されるということは、実務ではこういう意味を持ちます。
同じビット(内部リレーや出力)を複数箇所で触ると、順番の影響が出る
基本は 1つのビットは1箇所でしかコイルとして書かない のが安全です。
でも改造が増えたり、仕様が複雑になると「同じビットを別の場所でも操作」するケースが出ます。
そのときに起きるのが、
- 先にONにしたのに、下の回路でOFFにされる
- 先にOFFにしたのに、下の回路でONにされる
という “順番の影響” です。
だからこそ現場では、
- この条件を強く効かせたいから上(先)に置く
- 最終的に決めたいから下(後)に置く
みたいな設計の意図が出てきます。
※ただし「順番で勝たせる」は最後の手段で、基本は“1ビット1コイル”で完結させる方が読みやすく安全です。
上に「共通・禁止」を置いて、下で「個別・許可」を作る
現場のラダーを見ていると、こんな構造がよくあります。
- 上:共通条件(停止・禁止・インターロック・共通許可)
- 下:個別の動作(工程ごとの許可、各ユニットの動作)
こうしておくと、後から読んだ人が
「まず安全が成立して、その上で個別動作が走る」
と理解しやすくなります。
先に“状態を整える”回路を置いて、後で“出力を決める”
たとえば、
- 上でモード、工程、準備完了などの「状態」を作る
- 下でその状態を使って出力をON/OFFする
という作り方です。
これも「上から順に意味を積み上げる」工夫です。
例:自己保持回路で「枝の順番(a→c→b)」を理解する
ここからは“処理順番”の一例として、自己保持を使います。
(この記事の主役は自己保持ではなく、あくまで順番の理解のための例です)
自己保持回路の基本形を、接点3つで表します。
- 最初の接点:a(例:スタート)
- aと並列の接点:c(例:自己保持接点)
- 合流後に直列の接点:b(例:停止やインターロック)
- 右にコイル
論理式:(a OR c) AND b
ここでの“評価の順番の感覚”は、
- 並列部は上枝→下枝
- 合流してから右側
なので、図面の置き方が「上枝=a、下枝=c」なら
a → c → b
の順に見る、という説明ができます。
なぜスタートがパルスでも保持できる?(順番+スキャンの話)
初心者が混乱しやすいのがここです。
「aがパルス(短いON)なのに、なんで保持できるの?」
答えは、
- そのスキャンでaがONなら、(a OR c) AND b が成立してコイルがONになる
- 次のスキャン以降は、c(自己保持接点)がONになって保持する
からです。
ここで大事なのは、
- “同じ瞬間にaが消えても保持する”というより
- “次の繰り返し(次スキャン)からcが効いて保持する”
という時間の感覚です。
※ただしパルスが短すぎるとPLCが読み取れず、保持に入れないことがあります。
(これは「スキャンタイム」の話につながります)
まとめ:ラダーの順番を理解すると、設計の意図が見える
- ラダーは基本「上から下」「左から右」で評価される
- 並列(OR)は「上枝→下枝→合流後」の順で見る感覚になる
- だから実務では“上に書く/下に書く”が意味を持つ
(共通条件を上、個別動作を下/状態を上、出力を下 など) - 自己保持は順番理解の良い例で、(a OR c) AND b の形だと a→c→b の感覚で説明できる
- パルスでも保持できるのは、次スキャンで自己保持接点が効くから
<執筆者の実務コメント>
ラダーは「回路を成立させる」だけでなく、「後から読んで理解できる形」にするのが大事です。
上から順に意味が積み上がるように構造化すると、改造やトラブル対応が一気に楽になります。
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