【対象】初学者/実務者の基礎復習
【前提】先に「自己保持回路」を読むと理解が早いです
【次に読む】「タイマー」「A接点・B接点・コイル」「I/Oとは?」
はじめに
工場や機械の安全を守るうえで欠かせないのが 「インターロック」 です。
専門用語に聞こえますが、実は私たちの身近な家電や日常の中にも同じ仕組みが使われています。
この記事では、初心者でもわかりやすいように 生活の例 → 工場の例 → PLC制御 の順番で解説します。
インターロックとは?
インターロック(Interlock) とは、
「ある条件を満たしていないと機械が動けない仕組み」です。
言いかえると、
「危ないときは動かないようにする仕組み」でもあります。
日常生活にあるインターロックの例
実はインターロックは、普段の生活の中でもたくさん使われています。
- 電子レンジ:扉を開けると加熱が止まる
- 洗濯機:フタが開いていると回転しない
- エレベーター:ドアが閉まっていないと動かない
👉 「安全のために、条件を満たさないと動かない」という点が共通しています。
なんのために必要なの?
インターロックには、大きく分けて2つの目的があります。
安全のため
一番の目的は、人を危険な事象から守ることです。
機械の近くでは、
- 回転体への巻き込まれ
- シリンダの挟まれ
- ロボットとの接触
など、少しのミスが重大な事故につながる可能性があります。
そこで、
- 扉が開いているときは動かない
- 非常停止が押されている間は動かない
- 人が中に入っているときは動かない
といった条件を「インターロック」として組み込むことで、
危険な状態では動作しないようにするのが狙いです。
機械を守るため
もうひとつの目的は、機械や製品を壊さないことです。
例えば、
- モータの正転と逆転が同時にONになる
- クランプが締まっていないのに加工が始まる
- オイルやエアの圧力が足りないのに動作する
といった状態は、機械の破損やワーク不良の原因になります。
そこで、
- 正転がONのときは逆転を絶対にONにしない
- クランプ完了信号がONでないと加工軸が動けない
- 圧力スイッチがONでないとシーケンスが進まない
といったインターロックを組むことで、
壊れる前に止めることができます。
生産現場でのインターロック
生産現場では、インターロックはほぼ必須の考え方です。
代表的な例をいくつか紹介します。
モータの正転・逆転の排他制御
モータを正転・逆転で動かすとき、
- 正転信号(FWD)
- 逆転信号(REV)
が同時にONになると、ショートや故障の原因になります。
そのため、PLCでは例えば、
- 正転のコイルの回路に「逆転信号OFF」の条件を入れる
- 逆転のコイルの回路に「正転信号OFF」の条件を入れる
といった形で、「片方がONのときはもう片方が絶対にONにならない」ようにインターロックを組みます。
カバー・扉インターロック
工作機械やロボットセルなどでは、
- 扉が開いているときは危険な動きができない
といったインターロックが必須です。
具体的には、
- 扉スイッチの信号をPLCで取り込み
- 「扉クローズOK」の条件がONのときだけ、
主軸始動・軸動作・自動運転などを許可する
という制御を行います。
初心者が混乱しやすいポイント
インターロックは考え方としてはシンプルですが、初心者が実務で触れると次のような点で混乱しがちです。
「特別な部品」だと思ってしまう
インターロックという名前から、専用の部品や装置を想像してしまいがちですが、
実際には、
- リレー接点の組み合わせ
- PLCラダーでの条件付け
などで実現する 「仕組み」や「設計思想」 のことです。
安全装置とインターロックの違いがあいまいになる
非常停止や安全スイッチなどの安全装置と、インターロックの関係が分かりにくい、という声もよく聞きます。
ざっくり言うと、
- 非常停止ボタン・安全スイッチ … 「安全を守るための入力(装置)」
- インターロック … それらの入力を使って「条件がそろわないと動かないようにする仕組み」
という関係になります。
「入れれば入れるほど安全」と思ってしまう
インターロックは多ければ多いほど良い、というわけではありません。
条件を入れ過ぎると、
- 調整がやりにくくなる
- 作業者が「なぜ動かないのか分からない」状態になり、
結果としてバイパスや無理な運用が生まれる
といった逆効果もあります。
現場での使い勝手と安全のバランスを取りながら、
「本当に必要なインターロックはどこか?」を整理して設計することが重要です。
設計するときの考え方(実務視点)
私自身、工作機械メーカーで約20年、制御盤ハードやPLCラダーの設計をしてきましたが、インターロックを考えるときは次の3つを意識しています。
- 目的をはっきりさせる
- 人を守りたいのか(安全)
- 機械を守りたいのか
- 「どの信号が欠けたら絶対に止まるべきか」を決める
扉、非常停止、安全リレー、圧力スイッチなど、
「この信号が落ちたら必ず止める」というものを先に決め、回路の中での絶対条件に入れておくと、ラダーの構成が整理しやすくなります。 - 調整・メンテナンス時の運用もイメージする
実際の現場では、
- 扉を開けて段取りしたい
- 低速だけ動かして点検したい
といったニーズもあります。
そういった場面でどう運用するのか(専用モードを用意するのか等)も含めて考えておくと、「安全に現場で使えるインターロック」になります。
インターロックは、単に「止める仕組み」ではなく、
安全・設備・作業性のバランスをどう取るかという設計の考え方が重要です。
まとめ
- インターロックとは 「条件を満たさないと動けない安全な仕組み」
- 身近な例:電子レンジ・洗濯機・エレベーター
- 工場の例:モータ正逆転の排他、カバーが閉じていないと動かない安全条件
- 初心者は「危ないときは動かないようにしているんだな」と覚えればOK
<執筆者の実務コメント>
工作機械メーカーで約20年。制御盤ハード/PLCラダー設計(主に三菱・FANUC)。インターロックは誤動作防止と安全の要です。危険から守るためにも慎重に条件を考慮する必要があります。
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