【対象】初学者/実務者の基礎復習
【前提】先に「A接点・B接点・コイル」を読むと理解が早いです
【次に読む】「自己保持回路」「ラダーとは?」「I/Oとは?」
はじめに
これまでの記事では、ラダー図の中で「A接点」や「B接点」「コイル」という言葉が何度か登場しました。
これらはPLC内部で使われる論理的なリレーの記号でしたが、
もともとは実際の機械部品としての「リレー(Relay)」に由来しています。
この記事では、その元となるリレーそのものの仕組みや働きを、
初心者にもわかりやすく解説します。
リレーとは?
リレーとは、電気信号で接点を切り替える機器のことです。
コイルに電流を流すと磁力が発生し、その磁力で金属の接点が動いて回路のON/OFFを切り替えます。
つまり、「電気でスイッチを押す」ような仕組みになっています。
リレーは、PLCや制御盤の中だけでなく、家電製品や自動車など身近な機器にも広く使われています。
実際のリレーの写真です(透明ケース内にコイルや接点が入っています)

リレーの基本構造
リレーは主に次の3つの要素で構成されています。
| 部品名 | 役割 | イメージ |
|---|---|---|
| コイル | 電流を流すと磁力を発生させる部分 | 磁石のように引きつける力を生む |
| 可動鉄片 | 磁力で動く金属板。接点を押したり離したりする | スイッチを物理的に動かす役目 |
| 接点 | 回路をつなぐ(ON)・切る(OFF)部分 | 電気の通り道を開閉するスイッチ |
電気がコイルに流れると、磁力が発生 → 鉄片がコイルの磁力で動く → 鉄片に押されて接点がON。
この一連の動きによって、小さな電気信号で大きな回路を制御できるのがリレーの特徴です。

接点の種類
リレーの接点にはいくつか種類があります。
| 名称 | 動作 | 表記例 |
|---|---|---|
| A接点(NO:Normally Open) | コイルがONで接点が閉じる | ランプを点灯させたいときなど |
| B接点(NC:Normally Closed) | コイルがONで接点が開く | 異常時に電源を切るなど |
| C接点(切替接点) | A接点とB接点を両方持つ | 状態に応じて2系統を切り替える |
👉 A接点・B接点の詳しい説明はこちら
→ A接点・B接点とは?動作の違いを図で解説
リレーの役割と使われ方
リレーは、**「小さな電気の力で、大きな電気を動かすスイッチ」**です。
PLCの中や制御盤の中で、モータ・ランプ・ソレノイドなどを動かすときによく使われます。
主な役割
① 大きな電気を安全に動かす
PLCの出力はとても小さいので、そのままモータを動かすことはできません。
そこでリレーを間に入れることで、PLCの小さな信号でモータやランプなどを動かせます。
② PLCを守る
モータなどの負荷を直接つなぐと、電流の衝撃でPLCが壊れてしまうことがあります。
リレーを間に入れることで、PLC本体を保護できます。
③ 同時にいくつかの機器を動かす
リレーを使えば、「1つのスイッチで2つの機器を同時に動かす」といったことも簡単にできます。
たとえば、スタートボタンを押したらモータが回ってランプが点く、そんな制御ができます。
まとめ
リレーは「電気で動くスイッチ」であり、
PLCや制御盤の中で信号と動作をつなぐ重要な仲介役です。
リレーの動作原理を理解すると、ラダー図に出てくる接点やコイルの意味もより深くイメージできるようになります。
<執筆者の実務コメント>
工作機械メーカーで約20年。制御盤ハード設計/PLCラダー設計(主に三菱・FANUC)を担当。本記事は“電気で動くスイッチ”としてのリレーの仕組みと種類を、実務視点で要点だけまとめています。

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