〖対象〗PLC初心者/ラダーを読み書きし始めた人
〖前提〗A接点・B接点・コイルの記号は見たことがある(意味があいまいでもOK)
〖次に読む〗自己保持回路/インターロック/I/Oの基礎
ラダーを始めた頃に誰もが悩むのが、
- A接点とB接点って何が違うの?
- どっちを使えばいいの?
- なんとなくで使ってるけど、これで合ってる?
というやつです。
結論から言うと、A接点/B接点の使い分けは「慣れ」ではなく、
その信号の“意味(正常/異常)”と“故障したときの安全側”をどう作るか
で決めるのが基本です。
この記事では、図がなくても判断できるように、現場での典型パターンで整理します。
A接点・B接点の意味(まずここだけ)
ラダー上の意味はシンプルです。
- A接点(NO相当):対象ビットが ONのとき 条件成立(導通)
- B接点(NC相当):対象ビットが OFFのとき 条件成立(導通)
よく「A接点=ノーマルオープン」「B接点=ノーマルクローズ」と言われますが、ここで注意が1つあります。
ラダーのA/B接点は「物理接点がNO/NCか」ではなく、
“そのビットがON/OFFのときに条件を通すか” の表現です。
なので、物理配線(センサがNO/NC)と、ラダーのA/Bは、設計次第でズレます。
(ズレること自体は悪くありません。意図があればOKです。)
使い分けの判断軸は「正常時にONにしたいか」「異常時にONにしたいか」
迷ったら、まず信号をこの2種類に分けると一気に整理できます。
「正常を表す」信号(正常時ONにしたい)
例)
- 運転許可(Ready)
- ガード閉
- エア圧正常
- 油圧正常
- サーボ準備完了
- 原点復帰完了
このタイプは、一般的に
- ビットON=正常
- だからラダーは A接点 で使う
とすると、読んだときに直感的です。
「異常を表す」信号(異常時ONにしたい)
例)
- 非常停止
- エア圧低下
- 過負荷
- サーボアラーム
- 扉開(危険側)
このタイプは
- ビットON=異常
- 異常が立ったら止めたいので、停止条件側で A接点 でもいい
…のですが、現場で多いのは次の発想です。
「異常=ON」で作るより、
“正常が崩れた(OFFになった)瞬間に止まる” を作る方が安全で強い
これがいわゆるフェールセーフ寄りの考え方で、ここで B接点 が効いてきます。
典型パターンで覚えるA接点(例)
A接点は基本的に「成立してほしい条件」をそのまま書けます。
スタートボタン/サイクルスタート信号
- 押したときだけONになってほしい(=ONが意味を持つ)
- だから A接点 が自然
ワーク検知センサ(検出したときだけONにしたい信号)
- 検出=ON
- だから A接点 が自然
原点スイッチが立ったときの検出(到達=ONにしたい場合)
- 原点到達=ON
- だから A接点 が自然
典型パターンで覚えるB接点(例)
B接点が出てくるのは、だいたいこの2つの理由です。
- 理由①:断線や電源喪失でも止まる(安全側に倒す)を作りたい
- 理由②:“停止条件”をまとめると読みやすい
非常停止ボタン(安全回路)
非常停止は「押されたら止まる」のは当然として、
- 配線が切れた
- 端子が抜けた
- 入力電源が落ちた
みたいな故障でも 止まってほしい 代表例です。
そのため信号の持ち方として
- 正常時ON(非常停止OK)
- 異常(押下・断線)でOFFになる
という“正常監視”の形にして、ラダー側は
- B接点で「正常が崩れたら止まる」
と書くと強いです。
エア圧低下/油圧異常などの異常
これも同じで、
- 正常時ON(圧力OK)
- 異常や断線でOFF(圧力NG)
にしておくと、入力が死んだときに止められます。
結果としてラダーは、停止側でB接点が多くなりがちです。
「A接点の例」と「B接点の例」がゴチャつく問題の解決法
「例がリストで並ぶと分かりにくい」問題は、
“接点の種類”で分けるのではなく、“信号の意味”で分けると解消します。
考え方としてはこれ:
- 運転していい条件(正常条件):Ready、ガード閉、圧力OK…(→A接点で並べる)
- 運転を止める条件(停止条件):非常停止、圧力NG、扉開…(→B接点中心で並べる)
つまり、
「A接点の例」
「B接点の例」
ではなく、
「運転許可(正常条件)の作り方」
「停止(安全側)の作り方」
として記事を組むと、読者が迷いません。
よくあるミスとチェックポイント
ミス①:信号名と意味が逆で読みにくい
例)
- 「AIR_LOW」という名前なのに、正常時ONになってる
- 「AIR_OK」という名前なのに、異常時ONになってる
名前と意味がズレると、A/B接点が混乱します。
まずは 名前=意味 を一致させるのが最優先です。
ミス②:断線時に“動けてしまう”信号を作ってしまう
安全・インターロック系で一番怖いのはこれです。
- 断線したのに「入力OFF=異常」とならず
- 条件が成立して動けてしまう
特に「停止系」「安全系」は、
- 正常時ON(監視)
- 異常・断線でOFF
の思想に寄せると事故が減ります。
ミス③:どこで反転しているか分からない
配線で反転、入力設定で反転、ラダーでB接点…
反転が複数あると、後から見た人が混乱します。
おすすめは、反転はできるだけ少なく、ルール化することです。
- 基本は「現場で自然な意味(検出=ON、正常=ON)」に寄せる
- どうしても反転が必要なら「ここで反転」と分かる場所にまとめる
まとめ:A/B接点は「意味」と「安全側」で決める
- A接点:ONのとき成立(成立条件、検出条件に使いやすい)
- B接点:OFFのとき成立(停止条件、正常監視、フェールセーフ寄りに効く)
迷ったらこの2つで考えるとブレません。
1) その信号は「正常」を表す?「異常」を表す?
2) 断線や電源喪失でも止まるべき信号か?
この考え方で統一すると、ラダーが読みやすくなって、現場トラブルも減ります。
<執筆者の実務コメント>
設備が止まったときに一番困るのは「なぜ止まったかが分からない」ことです。
信号の意味(正常/異常)と接点の使い分けを統一しておくと、トラブル対応が速くなり、改造や引き継ぎも楽になります。
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