【対象】初学者/実務者の基礎復習
【前提】先に「I/Oとは?」を読むと理解が早いです
【次に読む】「ラダーとは?」「自己保持回路」「リレーとは?」
はじめに
PLCのラダー図を理解するうえで、最初に必ず出てくるのが A接点・B接点・コイル です。
- A接点とB接点は「条件(入力)」を表す記号
- コイルは「結果(出力や内部動作)」を表す記号
という役割を持っており、この3つの意味が分かるだけで、簡単なラダー回路なら読んだり作ったりできるようになります。
この記事では、A接点・B接点・コイルの基本的な意味に加えて、実際の制御盤やPLCでの使われ方、現場での考え方も交えながら解説します。
A接点(NO接点)とは
A接点は「入力がONのときに導通する接点」です。英語では NO(Normally Open)接点と呼ばれます。
- Normally(通常)=何もしていない、標準状態
- Open(開)=回路が開いていて、電気が流れていない状態
つまりA接点は、「通常状態では回路が開いていて電気が流れず、入力がONになったときだけ閉じて電気が流れる」接点です。
イメージしやすい例としては、押しボタンスイッチがあります。
- ボタンを押していないとき:接点は開いており、ランプは点灯しない
- ボタンを押したとき:接点が閉じて電流が流れ、ランプが点灯する
PLCのラダー図では、A接点記号を使うことで、
「この入力(X0など)がONのときだけ、この回路を通電させたい」
という条件を表現します。
実際のリレー回路でも、スタートボタンや通常運転の信号など、「動かしたいときだけONにする」用途でよく使われます。
B接点(NC接点)とは
B接点は「入力がOFFのときに導通する接点」です。英語では NC(Normally Closed)接点と呼ばれます。
- Normally(通常)=何もしていない、標準状態
- Closed(閉)=回路が閉じていて、電気が流れている状態
つまりB接点は、「通常状態では回路が閉じていて電気が流れ、入力がONになると開いて電気が止まる」接点です。
代表的な例が非常停止ボタン(E-STOP)です。
- 非常停止ボタンを押していない通常時:B接点が閉じており、回路に電気が流れている
- 非常停止ボタンを押したとき:B接点が開き、回路の電気が遮断される
このように、B接点は「異常が起きたとき・電線が切れたとき・コネクタが抜けたとき」に安全側に倒れるように設計したい回路でよく使われます。
PLCのラダー図でも、B接点記号を使うことで、
「この信号がOFFになったら、ただちに回路を止めたい」
といった安全回路やインターロック条件を表現します。
コイルとは
コイルは、ランプやモータなどの出力、もしくは内部リレーやタイマーなどの「動作結果」を表す記号です。
実物のリレーには、本当にコイル(電磁石)が入っていて、そこに電流を流すと接点が動きます。一方、PLCのラダー図に出てくるコイル記号は、実物のコイルそのものではなく、
- 出力リレー(Y0など)
- 内部リレー(M接点など)
- タイマーやカウンタ(T、Cなど)
といった「PLC内部の要素」をON/OFFするための記号です。
ラダー図では通常、段の一番右側にコイルを書きます。
左側に並んだA接点やB接点の条件がそろうと、そのコイルがONし、対応する出力や内部リレーがONになります。
たとえば、
- 接点条件 → X0(スタートボタン)、X1(条件)
- コイル → Y0(モータの起動信号)
というラダーを組めば、「スタートボタンが押され、条件が成立しているときだけ、モータ起動信号をONする」といった制御が実現できます。
A接点・B接点・コイルを組み合わせた簡単な回路例
ここでは、A接点・B接点・コイルを使ったごく簡単な回路例を2つ紹介します。
例1:スタートボタンでランプを点灯させる回路
- A接点:スタートボタン(X0)
- コイル:表示ランプ(Y0)
ラダー図では、
- 左側に A接点X0
- 右側に コイルY0
を1段で配置します。
- X0がOFF(ボタンを押していない) → A接点が開いており、Y0はOFF
- X0がON(ボタンを押す) → A接点が閉じて電流が流れ、Y0がON(ランプ点灯)
例2:非常停止ボタン付きの回路
- A接点:スタートボタン(X0)
- B接点:非常停止ボタン(X1)
- コイル:モータ起動信号(Y0)
ラダー図では、
- 左側に A接点X0 と B接点X1を並べ、
- 右側に コイルY0 を書きます。
このとき、
- 非常停止ボタンが押されていない通常時:X1はON状態なので、B接点X1は導通
- 非常停止ボタンを押すと:X1がOFFになり、B接点X1が開いて回路が切れる
その結果、
- スタートボタンが押されていても、非常停止が押された瞬間にY0(モータ起動信号)がOFFになり、安全側に止まる回路になります。
このように、A接点・B接点・コイルの組み合わせだけで、かなり多くの基本制御を表現することができます。
実務での使われ方
現場でPLCラダーや制御盤を設計するとき、A接点・B接点・コイルは次のような考え方で使い分けることが多いです。
A接点が向いている信号
「ふだんはOFFで、操作したときだけONしてほしいもの」
- スタートボタン、サイクルスタート信号
- ワーク検知センサ(検出したときだけONしてほしい信号)
- 原点スイッチがONになったタイミングの検出 など
👉 操作や検出があった瞬間に「動かしたい」「処理を進めたい」系の信号は、基本A接点で受けるイメージです。
B接点が向いている信号
「ふだんはONで、異常や操作があったときにOFFして止めたいもの」
- 非常停止ボタン
- エア圧力低下や油圧異常などのアラーム信号 など
👉 断線・コネクタ抜け・センサ故障などが起きても、安全側(停止側)に働いてほしい信号はB接点を使うのが基本です。
コイルが担当する機器
「実際に動く側・結果としてON/OFFさせたいもの」
- モータの電磁接触器を動かす出力
- シリンダを動かす電磁弁(ソレノイド)
- 表示灯やブザーなどの警報出力
- 内部リレー(シーケンスを分かりやすくするための中間リレー) など
👉 左側(A/B接点)で条件を組み、右側のコイルで「どの機器・どの内部リレーを動かすか」を決める、という役割分担になります。
まとめ
本記事では、A接点・B接点・コイルについて、次のポイントを整理しました。
- A接点(NO接点)は「入力がONのときに導通する接点」
- B接点(NC接点)は「入力がOFFのときに導通する接点」
- コイルは、出力や内部リレーなど「動作結果」を表す記号
- A接点・B接点・コイルの組み合わせで、多くの基本制御(スタート/ストップ、安全回路など)が表現できる
- 安全系の回路では、「異常時に安全側に働くか?」を意識して接点極性を選ぶことが重要
A接点・B接点・コイルの意味が分かると、ラダー図を見たときに
- 左側の接点が何の条件を表しているのか
- それがどのような組み合わせ(AND/OR)になっているのか
- 右側のコイルがどの出力や内部リレーを動かしているのか
を自然に追いかけられるようになります。
<執筆者の実務コメント>
工作機械メーカーで約20年。制御盤ハード設計/PLCラダー設計(主に三菱・FANUC)を担当。本記事は接点極性(A/B)とコイルの関係を、“ラダーで使う基本要素”の解説に沿って読み違いなく整理しています。

