【対象】初学者/実務者の基礎復習
【前提】先に「PLCとは?」を読むと役割の違いが整理できます
【次に読む】「I/Oとは?」「インターロック」「ラダーとは?」
はじめに
製造現場や自動機の世界では、「NC」という言葉をよく耳にします。
「NC装置」「NCプログラム」「NC制御」など、制御の中心的な存在として使われますが、
実際にどのような仕組みで動いているのかを整理しておきましょう。
NCとは?
NC(Numerical Control) とは、
機械の動きを「数値(データ)」で指示して自動で動かす仕組みです。
たとえば──
- モータを「○秒間回す」
- アームを「右に10cm動かす」
- ドリルを「一定の回転数で回転させる」
といった動きを、あらかじめプログラムに書いておくと、
人が操作しなくても機械が自分でその通りに動いてくれるようになります。
昔は人がボタンを押したり、ハンドルを回して機械を動かしていましたが、
NC制御ではその動作をすべて数値で自動化できます。
NCの構成と役割
NC制御では、以下のような構成で信号が流れます。
プログラム → NC装置 → サーボアンプ → サーボモータ
- プログラム:動作指令(位置・速度・順序など)を定義
- NC装置:プログラムを解析し、軸や機構を動かすための信号を生成
- サーボアンプ・サーボモータ:電気信号を動作エネルギーに変換して駆動
※ サーボアンプとサーボモータの役割については、別の記事で詳しく解説します
この仕組みにより、機械の動作を高精度かつ繰り返し性の高い自動制御で実現できます。
NCとPLCの違い
NCとPLCはどちらも制御装置ですが、目的が異なります。
| 項目 | NC | PLC |
|---|---|---|
| 主な役割 | 機械の動作(位置・速度)を制御 | 外部信号(スイッチ・ランプなど)を制御 |
| 主な制御内容 | 軸制御・補間制御・位置決めなどの演算処理 | 各種信号の入出力制御、タイマー・カウンタ、インターロックなどの処理 |
| 使われる分野 | 加工機・自動機・ロボット | 搬送装置・組立ライン・検査装置など |
ファナックなどのNC装置では、内部にPLC機能(PMC)が組み込まれています。
この内部PLCがドアスイッチやポンプ、チャックなどの補機を制御し、
「動作制御(NC)」と「信号制御(PLC)」を一体化した構成になっています。
NCで制御される主な動作
NC制御では、モータを動かすだけでなく、機械の一連の動きをまとめて管理しています。
たとえば、次のような動作を自動で制御しています。
- 軸の位置決め:テーブルやアームを、指定された位置まで正確に移動させる
- 回転制御:主軸やモータの回転数を、設定した速度で一定に保つ
- 動作の順序管理:加工や搬送など、複数の動作を決められた順番で実行する
- 複数軸の同時制御:複数の軸を同時に動かして、滑らかな動作や曲線運動を実現する
- 自動運転や復帰動作:スタートから完了、原点復帰までを自動で行う
これらの動作はすべて、プログラムに書かれた数値や条件に従って制御装置が自動で判断し、実行しています。
まとめ
- NCとは、機械の動きを数値データで制御する仕組み。
- プログラムをもとに、軸やモータを自動で制御する。
- PLCは装置の動作を制御するための信号や条件を管理し、NCは軸の動きを数値で制御する。
<執筆者の実務コメント>
工作機械メーカーで約20年。制御盤ハード設計/PLCラダー設計(主に三菱・FANUC)を担当。本記事はNCとPLC/PMCの役割分担を押さえ、混同しやすいポイントを基礎から切り分けています。


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