【対象】初学者/実務者の基礎復習
【前提】先に「ラダーとは?」を読むと理解が早いです
【次に読む】「インターロック」「自己保持回路」「A接点・B接点・コイル」
はじめに
PLCを学び始めると必ず出てくるのが「タイマー」です。
スイッチを押した瞬間にすぐ動かすのではなく、「何秒後に動かす」「数秒だけ動かす」といった制御をするときに欠かせません。
この記事では、PLCでよく使われる ONディレイタイマとOFFディレイタイマ を、初心者にもわかりやすく解説します。
タイマーとは?
PLCのタイマーは、時間を扱えるソフト命令です。
ラダー回路に配置することで、入力信号が変化してから一定時間後に出力を切り替えることができます。
- 三菱PLCなら「T命令」
- ファナックPMCなら「TIMER命令」
といった具合に、メーカーごとに表記は異なりますが、基本の考え方は同じです。
ONディレイタイマ(遅延ON)
動作の流れ
- 入力条件がONになる
- タイマがカウント開始
- 設定時間が経過したら出力がONになる
身近な具体例
- ボタンを押してから5秒後にランプが点灯
- エレベーターの「閉」ボタンを押しても、すぐには閉まらず1〜2秒待ってからドアが動く
👉 “ONが遅れてくる” から ONディレイ。
OFFディレイタイマ(遅延OFF)
動作の流れ
- 入力条件がOFFになる
- タイマがカウント開始
- 設定時間が経過したら出力がOFFになる
身近な具体例
- 照明を消しても5秒間だけ残光させる
- 車のドアを閉めてもルームランプがすぐには消えず、少し点いている
👉 “OFFが遅れてくる” から OFFディレイ。
ラダー設計時実務での使いどころ
- 入力信号の監視
例:センサーの信号が 3秒以上ONしなければ異常扱いとする - シーケンスの順序制御
例:複数のモータを時間差で起動する - トラブル回避
例:同時に動かすと電源容量が足りない場合、時間をずらして起動
初心者へのワンポイント
- タイマーは「遅れて動作するスイッチ」と考えるとイメージしやすい
- ONディレイ=ONが遅れる、OFFディレイ=OFFが遅れる
- 資格試験(シーケンス制御検定など)でも頻出なので、必ず理解しておきたい
まとめ
- PLCのタイマーは「時間を扱う命令」
- ONディレイ:入力ON → 一定時間後に出力ON
- OFFディレイ:入力OFF → 一定時間後に出力OFF
- 実務でも試験でも必須の基礎要素
👉 タイマーを使えるようになると、制御の幅が一気に広がります。
<執筆者の実務コメント>
工作機械メーカーで約20年。制御盤ハード設計/PLCラダー設計(主に三菱・FANUC)を担当。タイマーはON/OFFディレイの基本に加え、実機ではチャタリング対策や安全の復帰遅延など、設定根拠を明確にしておくと誤動作を防げます。
▶ 次に読む:インターロック/自己保持回路/A接点・B接点・コイル


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